完結作編につづいて、継続作編のお届けです。

 毎年やっていると分かってくる感覚として、最新刊の発売日が近い作品ほど上に来やすいというのがあります。もちろん1月や2月に発売された作品も、ストーリーや面白さは覚えているのですが、その時に感じた衝撃だとかワクワク感は、どうしても時間とともに薄れてきてしまうもので。なので順位は目安と言っているのですが、見られる方はそのあたりも意識してもらえるとより確度が高くなるかもしれません(そこお前の手で補正しとけやって話ですが)。

 今年はちょっと選びあぐねたので、いつもより多い20作をチョイスしています。ざっと振り返ってみると、少女マンガ回帰の1年だったなぁ、と。例年よりも、いわゆる王道の少女マンガレーベルの作品が多いように感じています。ではでは、どうぞ……



1.藤もも「恋わずらいのエリー」(既刊3巻)


……スクールカーストで最下層に位置するヒロイン・恵莉子のもっぱらの楽しみは、かっこよくて爽やかなイケメン・近江くんで色々と妄想をし、それをネットでつぶやくこと。ある日それが当の近江くんにバレてしまい、ドン引かれるかと思いきや、むしろそれをネタに恵莉子をいじって近づいてきます。そしていつしかそのおふざけはマジになっていき……というチョロかわな二人の甘い甘いラブコメディ。
 昨年+αで選んだのですが、なんやかんや一年通して一番楽しみにしていた作品で、趣味に走る形になりましたが1位に据えてみました。とにかく相手役のオミくんの承認力が高すぎて、読み終わった時の幸福感たるや……。なんてことないラブコメなのですが、この上なく幸せで満たされた気分にさせてくれる少女マンガで、自分の中での2016年を象徴するような作品でした。

変態地味女子×ウラオモテ男子 -藤もも「恋わずらいのエリー」1巻



2.ななじ眺「ふつうの恋子ちゃん」(既刊3巻)


……「ラストゲーム」が完結した今、一番ニヤニヤできる少女漫画は何かと言ったら、たぶんこれじゃないだろうか。とにかく「ふつう」が人生のモットーである女子高生・恋子。恋も勉強も、なんでも普通が一番という彼女の心をかき乱したのは、同じ学校でも目立つイケメン・剣くん。好きじゃない、好きになんかならない…そう思っていたのに、いつしか恋子の気持ちは……というラブコメディ。
 この作品の一番のポイントは、完全に両想いなのになかなか付き合うに至らないという、じらしにあります。恋子は意地っ張りゆえ、剣くんはヘタレゆえに、付き合っての一言が言えない。現在3巻まで出ているのですが、2巻早々に「あ、これそろそろ付き合うな」と思わせておいて、3巻終わってなお付き合っていないという衝撃。別に後戻りしているわけでもなく、ひたすら「付き合う」の臨界点を超えて踏ん張ってるような状況なんです。付き合う直前の、あの幸せの絶頂みたいな感覚をただひたすらに味わえるというと、伝わるでしょうか?このまま4巻も付き合わずなのか。いずれにせよニヤニヤたっぷりの恋模様を見せつけてくれることでしょう。

普通を願う女の子の普通じゃない恋 -ななじ眺「ふつうの恋子ちゃん」1巻
猛チャージの恋心 -ななじ眺「ふつうの恋子ちゃん」2巻



3.咲坂伊緒「思い思われふりふられ」(既刊4巻)


……連載開始は一昨年からなのですが、昨年は入れていませんでした。というのも、「アオハライド」の結末が個人的に残念だったために、新連載もやや不安だったから。しかしながらそんな不安はどこへやら、4巻まで来て、いよいよ青春ラブストーリーとして充実してきたという手応えまでも感じつつあります。むしろ「こっち描きたいからアオハライド早く終わらせたんじゃね?」ぐらいの勢い。
 内容は、夢みがちな由奈と、現実的に恋する朱里、正反対な性格の二人が友達になり、朱里の義弟・理央と、由奈の幼馴染・和臣を交えての四角関係を形成するという青春ストーリー。3巻ぐらいまでは「ふられ」のフェーズだったのか、やや暗く思い悩みがちな展開が多かったのですが、4巻でようやく明るく進めそうな気配が。悩みつつも、楽しく前向きに恋をする姿が好きなのですが、今年はそんな様子が多く見られそうな気がしています。

女子ふたり、恋ふたつ。 -咲坂伊緒「思い、思われ、ふり、ふられ」1巻
恋がもたらした変化とご褒美の”照れ” -咲坂伊緒「思い、思われ、ふり、ふられ」3巻



4.森下suu「ショートケーキケーキ」(既刊4巻)


……「日々蝶々」の森下suu先生の新連載です。刊行ペースの遅い少女マンガにあって、1年で4冊刊行は立派の一言。「日々蝶々」はラストやや尻すぼみな印象があったので、本作も設定ありきの出落ち気味作品にならないかと心配していたら、むしろ巻数を重ねるごとに面白さは増している状況。
 学生版テラスハウス……というと誤解を与えそうですが、物語は、男女数人入り混じっての下宿生活を描いた青春ストーリー。「日々蝶々」はメイン2人の関係にフォーカスが強く当たる作りになっていましたが、こちらは初めから登場人物が多い中展開され、それがきっちり話の広がりへと結びついています。イケメン2人を交えての三角関係が主軸になりますが、主人公含めそれぞれ思惑が読みづらく、一つ一つの行動に驚かされてばかり。4巻で一気に恋愛方面で動きが出てきており、今年とっても盛り上がること間違い無し。設定からしてリア充感が非常に強いですが、そういう雰囲気含めてお好きな方にオススメです。

下宿先で出会う男子たちはくせ者揃い!? -森下suu「ショートケーキケーキ」1巻



5.茜田千「さらば、佳き日」(既刊3巻)


……ある地方都市に“新婚夫婦”として引っ越してきた、圭一と晃。しかし二人は兄と妹という秘密を抱えていて……。そんな二人の日常と過去を、繊細な絵柄によって描き出す切なさたっぷりの物語。
 うちのブログで昨年一番人が来たのは、この作品の紹介記事でした。このマンガがすごい!では13位にランクイン。「ここがこう面白い!」と説明するのがなかなか難しく、乱暴に表してしまえば「雰囲気系」となってしまうのですが、その雰囲気が抜群に良いのだから仕方ない。一見穏やかで優しい光景が描かれているのですが、その背景には儚く淋しげな、終わりを予感させる空気が流れており、読んでいてとにかく切ないのです。切ない結末を予感させる雰囲気の良い物語って、ど真ん中で好きなジャンルでして。もう手放しでオススメしたい一作。

僕の妻は妹でした -茜田千「さらば、佳き日」1巻



6.森野萌「おはよう、いばら姫」(既刊4巻)


…男子高校生・哲が家政夫のアルバイト中にお屋敷の離れで出会ったのは、病気療養中だというお嬢様・志津。見るからに元気そうで、以来彼女の頼みで一緒に会うようになるように。会うたびに距離が近づき好意も積もっていきます。ところがある日、彼女の様子は一変。自分のことも覚えていないようで……。
 昨年1位に据えた本作ですが、こちらも4巻まで巻数を重ねて充実。いよいよ物語は、大きな山場を迎えつつあります。その設定ゆえに恋愛要素薄め。友情や家族関係など、相変わらず少女マンガらしからぬ展開となっていますが、着実に哲と志津の関係は深まっており、5巻にしてそろそろ恋愛方面でも盛り上がりがありそうな予感。個人的には「もっと甘いのちょうだいちょうだい」という感じですが、もう少し辛抱ですかね。いずれにせよもう少しでクライマックスとなりそうで、今後の展開が気になる一作でございます。



7.芥文絵「セキララにキス」(既刊4巻)


……またデザート連載作です、すみません(「恋わずらいのエリー」「おはよう、いばら姫」がデザート連載)。連載作のラインナップで言えば一番デザートが充実しているように思えるのですが、発行部数がめちゃ低いのは何故……。
 みんなに好かれるため「仮面」をかぶって生きてきた女子高生の千歳が、イケメンの樹にその仮面を見破られ、興味のままに彼に付いっていった先が、美術予備校だった…というところからはじまる、美術予備校を舞台にした青春ラブ・グラフィティ。
 恋も美術も、ある意味自分をさらけ出す行為であり、その両方にひたむきに向き合っていくヒロイン・千歳の姿が素敵な一作。作者の芥文絵先生は、百合を手がけられていたこともあり、キャラをはじめそのビジュアルがとにかく美しい。美男美女の組合せというのもあるのですが、そんな男女の真剣な様子とか、それだけでご飯いけちゃうぐらいの眼福です。もちろん絵柄だけでなくストーリーも、青春恋愛モノど真ん中を行くような内容で、バッチリ爽やかで素敵なんです。良作揃いのデザートにあって、一番青春度が高いのは本作かも。

美術予備校の青春ラブ・グラフィティ -芥文絵「セキララにキス」



8.たらちねジョン「グッドナイトアイラブユー」(既刊3巻)


……一人で母を看取った大学生の大空は、母の遺言に従い、ロンドンへ渡ることに。遺言にある通り、ロンドンの母の友達へ母が死んだことを伝えると、今度は違う行き先が書かれた遺言を渡される……。こうして始まった、ヨーロッパを巡る旅も3巻にして完結。途中、父と再会したり、友達と偶然会って現地の女の子とイタリアを周ったりと、とにかくイベントが盛りだくさん。ワクワクしたり、ソワソワしたり、様々な出来事を通じて、主人公が後ろ向きながらも成長していく様子が、地味に感動的でグッと来るものがあるのです。海外には全く興味の無かった私ですが、本作を読んで以来、ヨーロッパ旅行をしてみたいと思うようになりました。なおヨーロッパを巡る旅は3巻で一段落したものの、帰国後としてさらにお話は続くようです。こちらではどんな物語が描かれるのか、とても楽しみです。

母の遺言から始まる俺の異国での旅 -たらちねジョン「グッドナイト、アイラブユー」1巻



9.芝生かや「わかばのテーブル」(既刊1巻)


……ごはんを食べる男子を愛でる「食男」という色モノ雑誌の掲載作ながら、これが心温まる癒し系の良作だったのでびっくりでした。
 最愛の恋人との別れから、ちゃんと働き生きる気力を失った道信は、流れるように職場から遠く離れた田舎町の一軒家に住みはじめます。土地勘もなくウロウロとしていたところ、たどり着いた丘の上で出会ったのは、小さな男の子・歩。彼の執事にされるがまま、歩と友達になり、以来よく一緒に過ごすように。会うたびに、道信は歩にお弁当を作ってあげるのですが……という、傷心の青年と幼稚園児という異色な組合せのお料理マンガ。道信は歩と過ごしお弁当を作ることで、少しずつ立ち直り、一方の歩も両親が離れて暮らしているため寂しさを抱えている中、道信の隣に居場所を見出していくという。料理で全てが解決するわけではありませんが、一時の癒やしにはなってくれるし、何より誰かと食べるご飯は美味しい。そんな当たり前だけれど貴い感覚を呼び起こしてくれる作品です。巻数付いていませんが、続編連載中とのことで、こちらにてチョイスしました。

誰かと一緒に食べるごはんが、なによりの”ごちそう” -芝生かや「わかばのテーブル」



10.ひのなつ海「あかいろ交差点」(既刊1巻)


……人懐っこい性格が魅力の男の子・蒔田恵太。誰とでも仲良く出来る彼が、唯一苦手としているのが同じ学年の大原たまき。何かしたわけでもないのに、何故か彼女から何かにつけてキツく当たられる日々を送っていました。このままでは納得出来ないと、恵太は意を決してその理由をしつこくたまきに尋ねたところ、「私と蒔田君、赤い糸で繋がってるの!」という思わぬ返答がかえってきて!?
 赤い糸が見えてしまうというツンツン女子と、誰とでも仲良くできちゃう可愛く人懐っこい男子とのボーイミーツガールなラブコメディ。赤い糸でつながっているからといって、「ハイ付き合いましょう!」みたいな展開になるわけはなく、友達として仲良くなろうという方向に。もうそんなの絶対意識するようになるじゃないですか(ニヤニヤ)。加えて赤い糸は二人をくっつけようとするのですが、それに翻弄される二人の姿がかわいいのです。ツンツンなヒロイン・たまきの性格も相まって、今後ニヤニヤが大量生産される予感しかしません。入れ替わりモノとか、そういう作品がお好きな方に是非オススメしたい一作。

もしも”赤い糸”が見えてしまったら…? -ひのなつ海「あかいろ交差点」1巻



11.慎本真「SSB ―超青春姉弟s―」(既刊7巻)


……これ昨年も選んだ気でいたのですが、入れてなかったんですね。アニメ化もされた、とある仲良しな2組の姉弟の日常を描いたコメディです。ポジティブで自分大好きな新本姉弟と、どちらかというとクール&ネガティブな斉藤姉弟という、正反対だけれどとっても仲良しな四人組。これまで密かに新本姉・チコを想っていた斉藤弟・マオですが、まさかのここに来て「マオくんのこと昨日からラブな感じで好きっぽい(めちゃ軽」というチコの発言が飛び出し、事態は急展開。これまでと変わらぬ関係の中、時間の流れや個人の意志によって、どうしたって変わらざるをえない、そんな狭間の切なさやくすぐったさが描かれてきた本作ですが、ここに来てまさかのコレで、続きが楽しみであり怖くもありという状況に。目まぐるしく動き始めた人間関係に、もうすぐ完結かもなんて予感もしているのですが、果たして。なかなか話題になることのない作品ですが、緩い雰囲気ながらチクリと心に刺さる言葉が描かれていたり、たくさんの人に読んでもらいたい大好きな一作です。

恋と友情、どっちを選ぶ? -慎本真「SSB―超青春姉弟s―」7巻



12.河井英槻「はるはなのみの」(既刊1巻)


……地元の小学校に教師として赴任した四宮十和は、高校時代に密かに想いを寄せ続けていた相手・殿村周が、同じく新任教師として赴任してきたことを知り驚きます。想いを寄せていたとはいえ、会話を交わしたのはたったの3回(回数を覚えているくらい好きだった)。思っても見なかった展開に、十和子は戸惑いつつも、過去に抱いていた恋心をだんだんと思い出し胸高鳴らせていくという、大人になってからの恋物語。
 大人とはいえ、恋愛経験は皆無のヒロインだけあって、その内容は実にウブでピュア。それに対して、相手が食えないメガネというのもまた美味しい組み合わせで……。その他、周りを固める若手教師を交えて、大人の青春ストーリーという雰囲気で展開。遅れてきた青春を、恥ずかしさと共に噛みしめ楽しむような純情物語です。

大人になって再び吹いたあの日の初恋の風 -河井英槻「はるはなのみの」



13.河原和音「素敵な彼氏」(既刊2巻)


……彼氏というものに憧れるぼんやりガール・小桜ののかが合コンで出会ったのは、冷静で何を考えてるかわからないけど、さりげない気遣いができる桐山直也。会っていきなり「一生カレシできなそうだなぁ」と言われる衝撃の対面を果たした二人ですが、それで遠慮が無くなったのか、ののかは恋の悩みを彼に相談する、良い関係に。果たしてののかに、素敵な彼氏は出来るのか!?というストーリー。
 このあらすじで分かる通り、直也が相手本線なのですが、ののかは抜けたところのあるアホ系ヒロインで、また直也も何考えてるか分からない食えないヤツと、なかなか進展しない関係にヤキモキさせられます。掴みどころのないキャラによる、ふわふわゆるゆるした流れのお話なのですが、その奥底にはしっかり河原和音節が効いていて、一本芯が通っているという印象。ゆるゆると真っ直ぐが同居する、なんとも不思議な味わいの作品です。ああ、でもどちらも前向きという意味では合ってるのか(今更納得)。何はともあれ面白いのは間違い無く、河原和音先生がお好きな方は、(もうきっと読んでいるでしょうが)手にすることをオススメします。

ぼんやりガールの彼氏作り奮闘記! -河原和音「素敵な彼氏」1巻



14.友藤結「贄姫と獣の王」(既刊2巻)


……モフモフ獣とのカップリングはここ最近の流行りで多数作品が見られるのですが、その中ではこれが一番のお気に入り。魔界に生贄として送られてきた人間の娘・サリフィは、獣の王を目の前にしても全く動じないどころか、魔族の王に興味を持ち、距離を縮めようとします。それが王の心に届き、生贄ではなく姫として迎え入れられることになるという、異種族ラブファンタジー。
 反対する家臣たちや、姫の座を狙う者など、二人の周りには敵が沢山。そんな中でも、真に相手を信頼し、支え合う関係がどこまでも優しく愛おしい。恋愛ものではあるのですが、読んだときにはトキメキよりも、ほっこりと優しい気持ちが残る、ハートフルな作品です。

生贄の少女と異形の王の異種ロマンス -友藤結「贄姫と獣の王」1巻



15.神江ちず「しかばね少女と描かない画家」(既刊1巻)


……死ぬほどかわいい死なない女の子・リリと、ちょっと変わったひきこもり青年画家・ネルとの日々を描いた作品。死なない女の子というのは、遺体に別の人間の魂を入れられた、いわばゾンビのような存在。ずっと絵を描けずにスランプに陥っていたネルが、絵を通してリリと心通わせるようになり、立ち直ってゆく過程が、ファンシーな絵柄で描かれていきます。こんなタイトルと表紙ですが、中身はコメディ要素を多分に含んだハートフルストーリーだったりするから意外。ちょいちょい挟まれるロリコンネタがいい味出しているので、ロリコンの方は是非とも読んでみましょう。青年と少女のハートフルなやりとりを堪能できる、優しく切ない物語です。

これは良いロリ -神江ちず「しかばね少女と描かない画家」1巻



16.石田拓実「カカフカカ」(既刊4巻)


……就活に挫折しフリーターの亜希は、同棲していた彼氏にフラれ、友人の紹介でシェアハウスで暮らすことに。そこで再会したのは、中学の同級生で、初体験の相手・本行。EDに悩まされているという彼が提案してきたのは、ヘンなことはしないという約束での”添い寝”で…という、なかなか突飛なシチュエーションのラブストーリー。(ラブなのか?)
 シチュエーションとしては異常すぎるのですが、その前提でなぜか不思議と納得感ある物語が展開されるというのは、石田先生の手腕によるもの。加えて添い寝しているだけなのに、妙に生々しくてエロいのもまた同じく。4巻まで刊行され、ますます状況は混沌としてきましたが、その混沌とした状態に翻弄される主人公・亜希の様子が面白おかしく、ついつい読み込んでしまうんです。日常の中の非日常的シチュエーションがお好きな方にオススメの一作。



17.かわかみじゅんこ「中学聖日記」(既刊2巻)


……「パリパリ伝説」のかわかみじゅんこ先生がおくる、中学生と女教師との禁断の恋を描いたラブストーリー。自分の先生に対するイライラがやがて”恋”である自覚した少年は、本能のままに行動し、何かと先生を困らせるように。一方の先生も、その優柔不断さが仇となり、どうしたらよいか分からないまま彼にどんどんつけこまれてゆくという、なかなかに危うい状況が展開される物語。禁断の関係だからドキドキするかと思いきや、とにかく煮え切らない二人を見て抱くのは、どちらかというとイライラだったり。けれどもその危うさゆえに目が離せないという、なんとも不思議な感覚が残る作品です。あまりの歯切れの悪さに、2巻を終えて未だにモヤモヤを感じているぐらいなのですが、そんな感覚含めて強く印象に残ったお話でした。あとなんだかんだ年上の女性と中学生って組み合わせが、自分、結構好きなんだなと。

中学生が優柔不断な女性教師に恋をした -かわかみじゅんこ「中学聖日記」



18.安藤ゆき「町田くんの世界」(既刊4巻)


……主人公の町田君は、運動も勉強も家事も上手くこなせない不器用さん。けれども周囲の人たちからこの上なく愛されています。それは、彼が生粋の“人たらし”であるため。ちょっとした変化に気づき声をかけるし、損得勘定なしに誰かのために躊躇なく行動できるし、思いやりに溢れ親切で、いつだって一生懸命。そんな愛され上手な彼が見つめる世界は、いつだって優しく鮮やかに色づいています。
 そしてそんな彼に恋してしまった猪原さんの可愛いことよ。もっと恋愛要素を出してもらってもいいんだけどなぁと思いつつ、そこだけに集中せずにいろいろと愛を配るのが町田くんであり、この作品が「町田くんの世界」たるゆえんなのでしょうね。だからこそ、そんな彼の隣で恋心をどんどんと募らせつつも、なかなか実らずやきもきする猪原さんの可愛さが際立つという。恋の行方がますます気になる2017年です。



19.倉月忍「ひとくちふたくち」(既刊1巻)


……風紀委員長の真柴くんが最近気になるのは、派手目なクラスメイト・佐伯さんの校則違反……ではなく、お昼につまらなそうにメロンパンをかじる彼女の横顔。そんな佐伯さんを放っておけず、真柴くんは彼女にお弁当を作ることを提案するという、委員長×ギャルという組合せのお弁当マンガ。表紙だけ見ればお弁当男子を中心としたお料理系漫画。いや、確かにそうなんですけど、それだけじゃないのが本作の肝。少女漫画と言ったら恋愛じゃないですか。で、本作もちゃんと恋愛してるんですよ、特にヒロインの佐伯さんが。見た目完全にギャルながら、メガネくんの手作り弁当にまんまとやられて恋心抱いちゃうのですが、その様子とか、もうギャップの極みで可愛すぎるのなんの。

メガネ男子とツンツンギャルの幸せランチタイム -倉月忍「ひとくち、ふたくち」1巻



20.ろびこ「僕と君の大切な話」(既刊1巻)


……「となりの怪物くん」が完結して、満を持しての新連載ということで、めちゃめちゃ期待してましたよー。で、やっぱり面白かった。じゃあなんでこの位置にしてるのかってことなんですが、「となりの怪物くん」ほど1巻を読んだ時の衝撃が無かったから。また体調不良によりしばらく休載していたため、今年行けるかな?という思いもあり。中途半端に置くなら、ここで良いかなと。
 同じ学年の東くんに片想いをしてきた相沢のぞみは、ある日勇気を出して彼に告白をするけれど、ハプニングによってなんだかよくわからないことに。それをきっかけに、駅で二人おしゃべりをするようになるのですが…という、ストーカー女子とツンデレ男子のトーキングラブコメディ。ただただ男女二人が駅で話しているだけなのに、何か事件が起きるわけでもないのに、笑いもトキメキもしっかり落とし込んで面白くしてしまうのだからびっくり。なんだかシュールさは増していますけど、元々シュール成分多めの作風だったな、と。トキメキ成分を増やしても良し、このままシュールに振り切ってもそれはそれで興味深い、二度美味しい新感覚の物語です。



+α.穂積「僕のジョバンニ」(既刊1巻)


……「式の前日」の穂積先生の新連載。スケール感という意味では、2016年の新作でも一番かもしれません。でも穂積先生の作品って毎回スケール感はものすごくて、けれど意外と2~3巻でシュッと収まっちゃうみたいなイメージがあるんですよね(「さよならソルシエ」の文句言ってます)。田舎町で孤独にチェロを弾いていた少年・鉄雄が出会ったのは、海難事故で奇跡的に生き延びた同い年くらいの少年・郁未。命の恩人だと鉄雄を慕う郁未にチェロを教え、唯一無二の親友になる二人ですが、やがて郁未のチェロの腕前は、鉄雄を圧倒的に凌ぐようになり…という、天才と凡人を描いた音楽もの。この設定からして好みど真ん中なわけですが、ここから果たしてどう展開してゆくのか。正直三振かホームランかというタイプだと思うので、+αでプッシュすることにしてみました。

チェロの音が紡ぐ、二人の少年の魂の物語。 -穂積「僕のジョバンニ」1巻



自覚はしていましたが、レーベルの偏りがすごいですね。「デザート」「別冊マーガレット」「マーガレット」。また「Comic it」からも2作。例年「flowers」からも何作か選んでいた気がするのですが、今年は「僕のジョバンニ」だけになりました。「月影ベイベ」なんかは迷ったのですが。
 この他迷った作品としては綾瀬美羽「理想的ボーイフレンド」、やまもり三香「椿町ロンリープラネット」、志村貴子「こいいじ」、シタラマサコ「美少女戦士だった人」、桃栗みかん「群青にサイレン」、野々村朔「おとなりコンプレックス」、おざわゆき「傘寿まり子」、有賀リエ「パーフェクトワールド」、勝田文「マリーマリーマリー」、タアモ「終わりは恋の始まり」、風都ノリ「ご隠居魔王の非日常」、アキヤマ香「長閑の庭」、草川為「世界で一番悪い魔女」などなど、、、