■「借金1億、明日までに。」
家の借金を返すため、必死のバイトに精を出す高校生・小早川咲姫。いよいよピンチという咲姫の前に現れたのは、10歳の男の子・羽鳥将。莫大な財産を持つ将は借金を肩代わりし、代わりに咲姫を許嫁にしたいと申し出るのだが……。





  「アラクレ」などを描かれている藤原規代先生の新連載です。「一寸法師と姫の恋」というタイトルですが、現代を舞台としたお話です。物語の主人公は、女優の娘でお嬢様学校に通う女子高生・小早川咲姫。そんな彼女が、最近はなぜかバイトに勤しみ汗を流しています。というのも、お人好しの母が1億円の借金の保証人となってしまったため。明日までに1億円……そんな途方もない額を前にへたり込む咲姫でしたが、そんな彼女に手を差し伸べてくれたのが、10歳の男の子・将くん。彼が4歳の時に一度会ったことがあるだけなのに、彼は借金を肩代わりしてくれると共に、咲姫と同居し、さらに許嫁にしたいとまで申し出てきたのです。それには秘密があって…というお話。


 将くんは10歳とは思えないほどに大人びていて、「見た目は子供、頭脳は大人」という感じ。とにかく咲姫のことを思っており、その全てが彼女を手に入れるための行動となっています。なんとなくタイトルからも分かるかと思うのですが、いわゆる転生もの。将くんは一寸法師の記憶を持って生まれてきており、一寸法師が愛した姫の生まれ変わりが咲姫というわけ。しかしながら咲姫にはその記憶が無く、またなんの因果か年齢も高校生と小学生と離れて生まれてきてしまったのでした。





中身は大人というわけではないのですが、元々ハイスペックである上に、前世の記憶があることから、非常に大人びています。




 単純なシチュエーションだけ見れば小学生と高校生の年の差カップルもの。ショタは好きですが、現実味の無い年の差とか、大人びすぎたショタとかにはどちらかというと苦手意識があったんですよね、これまで。でも本作はそんなに気にならなかったのが不思議。前世の記憶があるからなんですかね。しかし恋愛関係と呼べる段階かというと、そこまでの道のりは遠そうです。将くんの方は男としてバリバリ接しに行くのですが、咲姫の方はというと、どうしたって年下の男の子としてしか見れない。それに幼馴染の男の子に淡い想いを寄せていたりするのです。同居や許嫁の約束こそこぎ着けたものの、気持ちが自分に向いてくれないのでは、将くんとしては辛いだけ。それでもめげずに、彼女を支え愛情を伝えることで、恋の相手としてかは微妙ではあるものの、心の距離を近づけていきます。





将くんに対し、咲姫は子供扱い。そんなシーンにほっこりすることもあるのですが、将くんからするとそれでは面白くないのです。




 「ボクラノキセキ」といい「ぼくの地球を守って」といい「NGライフ」といい、前世の記憶を持つからこそ、現世で置かれた状況や関係・記憶との兼ね合いで苦悩が生まれてくるわけですが、将くんに関しては気持ち悪いほどに前世100%という感じ。苦悩というものが見られず、とにかく前世での想いが報われるようにと行動している感がありありと伝わってくるのです。おかしくはないけど、なんだか違和感を抱きつついたら、1巻ラストで思いもよらぬカムアウトが。「あー、そういうことなのか!」と納得すると共に、「さてこれからどうなるのか」という興味が。1巻はあくまで準備段階だったわけですね。


 この設定が投入されることで一層面白くなるかといったらよくわからないですが、してやられたのは確かですし、それがどう転ぼうと、現時点で実に藤原規代作品らしくて面白い。めちゃめちゃぶっ飛んだ内容ではあるのですが、「アラクレ」で感じたウキウキ感を思い出させてくれる内容で、個人的には続きが非常に楽しみな一作。この制約に年の差、ライバルの存在と、逆風吹きすさぶ中で将くんがどうその壁を超えてゆくのか、要注目です。



【感想まとめ】
藤原規代作品では久々に続きが気になる作品が出てきたという感じです。そういえば「お嫁にいけない」も年の差でしたね、この設定が好きだったりするのでしょうか。



作品DATA
■著者:藤原規代
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめコミックス
■掲載誌:花とゆめ
■既刊1巻