■七森結は、阿部寛のようなダンディなおじ様が大好き。ある寒い冬の日、七森は、スマホと財布とスカートを失い、半裸で凍えていたところ、とびきりダンディなおじ様に救われて一目惚れするが、彼にはある事情ががあって……!?理想のおじさま、ここに極まれり!





 主人公はおじさま好きの女子大生・七森結。理想の相手は阿部寛だという彼女はある日、泥酔の末にスマホをトイレに落とし、財布を路上に落とし、スカートを電柱に奪われという三重苦で、道端に小さく震えていました。そんなピンチな彼女に手を差し伸べてくれたのは、通りがかりのおじさん。何も言わず、上着とマフラーと、お弁当を渡してくれたのでした。あっという間に心奪われた結は、弁当の箸袋に書かれた情報を頼りに、そのお弁当屋に出向くと、そこには弁当屋のエプロンをダンディに着こなし、「てんちょう」と呼ばれる彼の姿が!しかし直後、結は衝撃の事実を聞かされることになるのでした。なんとそのおじさま、実はただ老け顔なだけの高校生だったのです…!見た目は理想、でも中身は子供……おじさま好きの結の恋の運命は……というお話。





「てんちょう」というのも、店長じゃなくて、名前がてんちょうっていう。てんちょうくんはただの弁当屋のバイト。で、結も紆余曲折ありその店でバイトすることになるという。




 まあ出オチってやつですよね。劇画調な見た目の高校生に恋してしまうという、「俺物語!!」インスパイアな香り漂うラブコメ。あちらはそんなキャラクターながら正攻法で恋愛ものを描いたワケですが、こちらは完全にコメディに転がしていってます。帯にはちゃんと河原和音先生から推薦コメント貰ってるあたり、抜け目ないです。


 ヒーローのてんちょうくん、こんな見た目ですが中身は奥手な純朴高校生で、ヒロインの結を前にしても口数少なく実に大人しいです。そりゃあ高校生からしたら女子大生なんて大人中の大人で、自分から話しかけるのだって勇気が要るものです。一方の結は、その見た目先行でおじさま的な振る舞いをどこか期待してしまうものだから、そのギャップにいつも(悪い意味で)やられるというのが序盤の展開。結がおじさんに求めているのは見た目だけではなく、言葉の深みであったり色気だったり謙虚さだったり、中身も重要だったりするのです。だからこそ、そのギャップが惜しくて悔しい。自転車で移動したり、学ラン着てたりするわけで、そのたびに結は現実に引き戻されるという。


 とはいえ同じバイト仲間なので、少しずつではありますが同僚として打ち解けていきます。てんちょうくんは真面目なので、恋愛対象云々というレベルでは見ておらずなのですが、結の方は恋愛対象と対象外の間で行ったり来たり。思い描く理想のおじさんには程遠いですが、その真面目さや純朴さ、自分のことを心から気遣ってくれる優しさなどに心打たれ、思わぬトキメキを感じてしまう瞬間があったりするのです。





個人的なハイライトはここですかね。めちゃカッコいいです。




 この作品がコメディ一辺倒になるのは、てんちょうのキャラクターというよりも、ヒロインの結のアホっぷりにあるような気がします。てんちょうくんは見た目とは裏腹に中身は普通なのですが、結はちょっと思考回路から行動様式からぶっ飛んでて、とにかく場が動く動く。そもそも箸袋の情報を頼りに弁当屋に赴くという冒頭のアグレッシブさから想像がつくと思いますが、深く考えずについつい動いてしまうタイプ。なのでトラブルにも巻き込まれがちという。てんちょうくんは絵面がうるさい一方で、結は結でうるさいので、登場人物は少ないながらも作品全体的に非常にガヤガヤと賑やかな印象があります。



【感想まとめ】
出オチ作品かと思いきやしっかり物語も転がって、最後まで楽しく読むことが出来ました。何も考えずにバカらしいラブコメを楽しみたいという方に。オススメです。



作品DATA
■著者:柴なつみ
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:Cookie
■既刊1巻



ためし読み