■年末カウントダウンに彼氏と行くのが夢な小桜ののかですが、5月に入って意欲が減少。それは桐山直也に恋してたからと気づきました!しかし鈴木奨平といるところを直也に見られても「誰と遊んでも自由だ」と突き放されてしまいます。しかも、奨平の都合で付き合ってるふりをすることに!直也の言動から自分を好きではないと感じ辛くなるののかに、宿泊研修でさらなるハプニングが!?姿は見えてきたはずだけど、ののかに「素敵な彼氏」が出来るのはまだまだ……みたい……。




くそう、面白い……

 3巻発売しています。Twitterなんかではよく呟いているのですが、河原和音先生の作品ってのは正論を真っ直ぐにぶつけてくる体育会系な雰囲気が強く、面白いんだけど根本的なところでは苦手意識を持っていたりするんですよね。「青空エール」なんかは自分の中でその典型で、面白いんだけど読んでてしんどくもあり、ときおりしんどさが勝ってしまう時もあったり。で、精神的コンディションの良い時に、気合を入れてから一気に読むという。そんな中本作は、根底に河原和音節をひしひしと感じつつも、圧倒的に面白さが勝つので、これまでと違って買ってすぐに読んじゃうという状況が続いています。ダメージを受けながらもページを捲らずにはいられない感じ。3巻も「あー、くそう、めちゃくちゃ面白いよ……」と、ほんのり悔しさと精神的ダメージを感じつつ、グイグイと読み進めてしまいました。


 3巻はこれまでの前向きで期待感渦巻く明るい展開とは異なり、足踏みの3巻というところでしょうか。ちょっとしたボタンの掛け違いが積み重なり、思った方向に進んでくれない、実に歯がゆくイライラさせる展開となっています。ちょっとした悪意はありつつも、ベースとなるのは遠慮だったり思いやりだったり勘違いだったりと、本当に些細なことの積み重ねで、これだけでここまでこじれさせることが出来るのは流石だなぁと。

奨平くんに振り回される

 今回に関してはとにかく明るい男子の奨平くんによるところが大きかったです。彼女のフリをしてくれと頼まれ、断れずに受け入れてしまうののか。それがあらぬ誤解を呼び、桐山くんとの距離は開いていくことになります。桐山くんも、ののかを探しに行ったりとさすがヒーローと思わせる行動をするのですが、彼氏役という立ち位置には勝てず、最後は奨平にののかをさらわれるということを繰り返すあたり、あーイライラする!(褒め言葉) 全てをののかに委ねて決定打を放たない桐山くんにもイライラするし、奨平の誘いを断らないののかにもイライラするし、空気を読まずにずいずい出て来る奨平くんにもイライラするし。誰が明確に悪いというわけでもなく、みんなちょっとずつ失敗してるってだけなんですよね。


 展開的には二つ。奨平と付き合う道を取るか、寄り道せずに桐山くんにまっすぐ行くか。もちろん展開的に、一度本当に奨平と付き合ってもいいんですけど、不安しか無さそう。というのも、なんかこの二人似てないですか?あんまり深く考え無さそうな所とか、とにかく二人揃って危なっかしい感じがすごい。結婚なんかした日には、怪しい勧誘とかにホイホイついていって騙されるとかままありそう(不必要な心配)。一方桐山くんであればその辺しっかり守ってくれそうで、実に安心して見ていられるんですよね。



 けれども桐山くんは自分から思いを伝えるつもりは無いようで。匂わせはするものの、あくまで「待ち」。なんかちょっと落ち込んでいる感じも見せる桐山くんですが、こんな状況を招いた責任の一端は、間違いなく彼にもあるのであまり擁護は出来ないなぁ、とも。ちゃんと奨平くんは、自分の想いを言葉で伝えているんですよね。自らちゃんと掴み取っている。

さらなる障壁

 さてさて、それでもそんな掛け違いも何のその。ののかは自分の気持に正直になり、奨平くんとは付き合わず、桐山くんに告白する道を選びます。ここまではある意味予想通り。なぜなら河原和音の文脈は「正論」であり「体育会系」であるから、よほどのことが無い限り正しい道を進むからです。これでめでたしめでたし……と思いきや、まさかのさらなる障害を落とし込んでくるというスパルタっぷり。これで再び先が読めなくなるという。



第二の障壁・真央。一人称が名前呼びというところからも、計算高さと性格の悪さを感じさせます。はい、こういうキャラ大好き。


 これはなかなか恋愛戦闘力の高そうなライバルが登場しました。普通にやりあって勝てるわけはありません。アホなののかは、バカ正直さと明るさで立ち向かうしかないのです。4巻は恐らく彼女との恋愛バトルとなりそうですが、果たしてどんな展開を見せるのやら。もうそろそろ落ち着いてほしいものですが、4巻の予告ではおあつらえ向きに「ますますこじれる」の文字が。落ち着いて「素敵な彼氏」を楽しめる時間は、まだまだ先のようですね。