■魏・呉・蜀の三国時代、信念を胸に戦い倒れた武将達……であったが、なぜかみんな日本に転生!!しかも。曹操・孫権・劉備はJKに!?武闘派紳士の関羽、物貰いで眼帯の夏候惇、毒舌お世話係の周瑜などなど……。見覚えのある面々に囲まれ、元劉備・徳子は、静かに暮らせるのか……!?イケメンも歴史も楽しめる(?)新感覚ラブコメ!!





 「帝の至宝」などを描かれている、仲野えみこ先生の新連載です。三国志の学園転生ラブコメということで、なんだかとってもわちゃわちゃしております。ここ最近花ゆめレーベルで生まれ変わりものが乱立している印象があるのですが、流行ってきているんでしょうか。仲野えみこ先生は「帝の至宝」で、古代中国を舞台にした物語を描かれていた下地があるので、三国志モチーフというのもある種自然であるようにも感じます。


 物語の舞台は現代日本のとある学園。あろうことから、三国志時代の主要人物たちが現代日本に転生してきて、この学園に一堂に会するという状況。しかも劉備・曹操・孫権に至っては女子に転生しており、なんともややこしい事態となっております。争い事をするような時代でも環境でもありません。主人公の劉備は、「静かに人知れず誰かの役に立ちたい」と願うも、周囲の面々はそうしてはくれません。家臣達はみなイケメンでハイスペック。そんな彼らに慕われていれば嫌でも目立つし、曹操はバリバリの生徒会長となり何かと巻き込んでくるし、孫権もゆるふわJKで無害だけどやっぱり何かと目立つ……。かつては覇権を争った彼(彼女)らが、この世界で繰り広げるのは果たして、戦いか友情か恋愛か…という、なんともゆるいラブコメ。





生まれ変わって、こんなに可愛くなりました。ゴミ捨てとか率先して行っちゃうタイプ。小動物系の美少女で、のほほんと平穏を望む、押しの弱い姿がすごく可愛いです。




 3人がバリバリ敵対して争いを繰り広げるようなお話かと思いきや、主人公の徳子はそういった流れに完全に背を向ける穏健派となっており、そういった流れは全く生まれません。印象も武将というよりは、気弱でないい人という感じ。見た目も弱そうで、めっちゃ可愛いんですけど、やはりどこかおじさんみのある落ち着いたヒロインになっています。孫権も天然ボケのふわふわお嬢様女子高生という感じで、これまた全体的に噛み合わない。唯一野心を感じるのは曹操ですが、二人がこんな感じなのでエネルギーは空回り。とはいえ生徒会長として、この学校を大きくしようと辣腕を振るっています。


 女子なのはこの3人だけで、あとはイケメンパラダイスです。それぞれどこかズレたところがあるので、それをクールにサポートするような役回りという感じでしょうか。とはいえ彼らもそれぞれにかなりクセのある面々で、それぞれに紐解いていくとなかなか面白い。そんな中で最もフォーカスが当たるのが、表紙に描かれている2人。黒髪の方が関羽(現代名:関 羽道くん)で、金髪の方が張飛(現代名:張間 飛虎くん)。関くんはつい最近転校してきたばかりでまだ現代での主従関係に慣れておらず、イケメン真面目童貞という感じがアリアリと感じられます。一方の張間くんはいつも余裕たっぷりで、劉備とも丁度よい距離感で関係を築いている感じ。


 一応ジャンル的にラブコメとしているらしいのですが、1巻時点ではそこまでラブコメってません。当然ながら互いの前世の姿は知っており、それらを踏まえた上で、現世で男女として意識し合うというのはなかなかハードルが高いわけで。とはいえ君主たちはタイプは違えど皆々抜群に可愛いのです。加えて男子達は青春真っ盛りの10代っぷりも持ち合わせているワケで、否応にも可愛い姿を見せられると反応してしまうという。みんな優れた人物ですからそういうのあんまり表に出さないのですが、童貞っぷり逞しい関くんだけはそういうのがポロポロ漏れている感じで、めちゃくちゃ可愛いです。





怒涛。全体的にこんなテンションではあります。だからこそ、劉備のゆるさが際立って可愛いっていう。




 序盤から登場人物の数がめちゃめちゃ多く、しかも前世ネタをきっちり織り込んで来るので、背景として三国志を知っていた方がより物語を楽しめるのかなと思いました。もちろん作中でネタに対する解説もきっちり入るのですが、こういうゆるいラブコメはテンポよく読んでなんぼだと思いますので。あんまり知らない人からすると、読みづらさもあるんじゃないかなと思ったり。一方で、三国志要素はキャラや舞台のベース作りという感じもするので、これからどんどんと物語が動いて行く2巻以降は、そういったハードルは無くなっていくと思います。よりオリジナルラブコメとして楽しめる要素が増えるでしょうという見立て。



【感想まとめ】
キャラ数もネタ数も序盤から多く、全体的にわちゃわちゃしている印象ですが、どのキャラも可愛らしく、巻が重なれば重なるほど面白みは増しそうな印象。ただ元ネタが元ネタだけに、これが長期連載となるほど支持を集められるのか、ちょっと怪しいんですけれども。



作品DATA
■著者:仲野えみこ
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめコミックス
■掲載誌:LaLa
■既刊1巻



ためし読み