■2巻発売しました。
「たとえば僕と君が違う星の人間だとして、それをつなぐのは言葉だろう」
同じ学年の東くんに片想いしてきた相沢のぞみ。ある日、勇気を出して帰りの駅で声をかけ告白!だけど、東くんの返事は超予想外の言葉だった…!!なかなか噛み合わない不器用な2人だけれども、会話を続けるうちに、次第に距離は縮まりはじめ?笑いもニヤニヤも止まらない!すれ違う男女の新感覚”トーキング”ラブコメディ、開幕!





 2巻発売しました。1巻発売の時にレビューをしていないため、当ブログでははじめてのご紹介になりますね。前作「となりの怪物くん」はアニメ化もする大ヒットとなり、ろびこ先生は一気にデザートの看板作家さんへと駆け上がりました。前身のブログをご覧になっていた方は、私がかなり「となりの怪物くん」にかなり入れ込んでいたこともご存知なんじゃないかと思います。で、次作を心待ちにしていたわけですが、しばらく音沙汰なしという状況が続きました。そして満を持して発表されたのが本作。正直前作が前作だけに、「次はどんなので来るんだろう?」という周囲が抱く期待感は相当に高かったんじゃないかと。で、送り出してきたのは良い意味で力の抜けたトーキングラブコメ。期待を変に受け取って、めちゃめちゃ真面目で壮大なこととか描き出したりしなくて良かった…!と安心したのは私だけではないはず。いや、そっちはそっちで見てみたかったんですけどね。


 物語の中心となるのは二人の変わり者の男女。同じ学年の東くんへの好きが募りすぎて、半ばストーカーのようになってしまった相沢さんは、駅で電車を待つ彼の隣に座り、意を決して告白!けれど東くんは、自分の後をつけてきたことを確認した後に「そういうのよくないよ」と諭されます。そこからは、フラれるでもなく受け入れられるでもなく、なんだか不思議な語り合いが……。以来、駅のベンチで二人話をするようになった東くんと相沢さん。会話をするうちに、だんだんとふたりの距離は縮まりはじめ……というお話。





舞台は固定的で、とにかく会話だけで物語が転がっていきます。1巻は駅のホームで電車を待ちながら、そして2巻は中庭でお昼を食べながら。大抵ワンテーマ提示されて、それについてお互いが考えを述べあっていくという、トークともディベートともスピーチとも言えるような掛け合いが不思議な味わいを生み出しています。内容は男女に関わることが中心。




 その語り口は哲学的でありながら、結局やってるのはシュールな漫才とかすれ違い系のコントなんじゃないかと感じています。男女の話をしているけれど、互いの関係には直接言及せず、とにかく周りをなぞりながら平行線を辿り続けるもどかしさとゆるさ。けれど会話を重ねる分だけ相手のことを知ることはできるという特別感に、幸福感と満足感。うん、繰り返しになりますが、不思議な味わいだ!





会話中心ですがローテンションで続くというわけではなく、ちゃんと緩急が利いていて絵面的にも飽きさせないようになっているのも面白いところ。思わぬハプニングがあったり、脇役達が乱入してきたり、その手法は様々です。




 基本ろびこ作品に登場するキャラクターってぶっ飛んでるじゃないですか。本作の場合も考えすぎた(もしくは何も考えなかった)末に暴走して思わぬ結果を招いてしまうみたいなことがままあって、「あ、ろびこ先生変わってないな」と安心できますね。


 「となりの怪物くん」では夏目さんという圧倒的に魅力的なキャラクターがいたのですが(大島さんも素敵でしたね)、いまのところ夏目さんに匹敵するような心に響く脇役はおらず。というかそもそも脇役が序盤では少ないです。会話中心なのであんまり最初から居すぎてもってところなのでしょう。一番登場回数が多いのは、哀しきイケメンぬるま湯王子の環くんですが、なんていうかこう「私は女子が欲しい!」(身勝手な叫び)。環くんについて語ると、その見た目と動じない感じから、雫の弟・隆也くんを思い出しませんかね。ズバッと斬り込んでくる、フォワードのような攻撃力を後々発揮してもらいたいものです。


 形態は変われど、ちょっと変わったキャラクター達を中心にストーリーを転がしていくというのは変わらずでとても安心。今のところコメディに倒れているので、シリアスだったり切ない方向に倒したりする場面は少ないのですが、話が進むごとにそんな側面も出てくるのではないでしょうか。徐々に脇役達も数が増え、色々な側面から青春模様が描かれることでしょう。そんな変なキャラたちながら、抱える悩みや思いってのは普通の高校生たちと変わらず、そこは素直にむき出しに描くので、心に響くんですよね。



【感想まとめ】
これからどんどん心に入っていくような気も、そんなことはせずに今のゆるいテンションで進むような気もしているわけですが、どちらに転んだとしてもきっと面白いであろうという確信が、2巻まで読み終えた今、あります。



作品DATA
■著者:ろびこ
■出版社:講談社
■レーベル:KCデザート
■掲載誌:デザート
■既刊2巻



ためし読み