■ところは京都、烏寺。
昔喋るカラスがいたというこの寺に、これまたずいぶん長生きのカラスが一羽おりました。食に焦がれてこのカラス、とうとう人の世界まで降りてきてしまったのです。正体はカラスにハト……?にちょい枯れ坊主まで、イケメンたちが食べつくす、リアル京都めしシリーズがスタートです!





 最近流行りの、地域を絞ってのグルメマンガです。私屋カヲル先生なんか阿佐ヶ谷に絞ったグルメ漫画を描かれていましたが、今や一駅ぐらいに限定されたアド街的作品も少なくありません。本作でスポットが当てられるのは京都。京都というと歴史ある文化的料理のイメージが強いのですが、こちらはそういった歴史的な高級料理とは一線を画する、B級グルメを中心とした料理・店舗を紹介しています。


 物語の主人公は、人間の食に焦がれて人間になってしまったカラス・烏丸。ひょんなことから烏寺というところに居候させてもらえることになり、日々美味しい食を求めて京都を回っているのでした。何はともあれまずはお金がなければご飯は食べられません。烏丸は近所の居酒屋でバイトをして、日々お金を稼いでいます。バイトで稼げるお金なんてたかが知れています。なので贅沢はできません。限られたお金を使って、いかに美味しいものをお腹いっぱい食べるか……そんな欲求に応えてくれるのが、京都に数多ある庶民向けグルメたちなのです。





コンビニ弁当の底に沈んでいる、オイリーなスパゲッティが好きだったりする、そんな感覚の持ち主。




 京都のご飯というと、「薄い味付けに薄い色付け、東京の茶色い料理を見下している気取った料理」というイメージがあるのですが(完全に偏見)、本作で取り上げられるご飯達はそこまでお高く止まっておらず、けれども京都の魂をしっかりと感じることの出来る気の利いた料理たち。そのジャンルも幅広く、居酒屋ごはんやカレー、ナポリタン、中華定食、親子丼、バーガー、かすうどん、桜餅など様々。どれも実在するお店で、MAPとオススメメニューが補足されています。


 個人的に気になったのは、黄身焼きですかねー。トンカツの衣が丸々卵に置き換わったような変わり種のメニューで、繊細さとガッツリさが同居したような心くすぐる一品。しかしながら京都に行く用事もしばらく無さそうで、きっと食べることなく死んでいくんだろうなぁとか思ったり。あとはかすうどん。全く馴染みのない具材で、一体どんなものなのか気になります。こちらについては別にこの店舗に行かずとも、どこかしらで食べることができそうなこともあり、頭の片隅に置いておきたいなと思いました。





黄身焼き。カラーで見てみたかった気もします。思わず調べてしまいました。




 こういった普段縁の無い場所にフォーカスを当てた作品を読む際に大事になるのが、サイドメニュー的に描かれるストーリーの方。本作の場合は烏が人間になったという変わった設定を用いているのですが、正直1巻を読んでいる限り別に烏が人間になっている必要性は特に感じないという(笑)脇役として、同じく鳩から人間に変わったキャラクターも出てくるのですが、彼もまた別に鳩から人間になったという設定要る?っていうぐらい普通にグルメをこなすという。普通に肉とか食べるし、お酒が飲めない意外は雑食という。一応単発的なエピソードは放り込まれ、大きな流れもありそうではあるのですが、ここまでの設定を落とし込むほどかというと少々疑問も。1巻ラストで大きな転換点を迎えそうな出来事が起きたので、このへんは2巻以降に期待というところでしょうか。



【感想まとめ】
東京暮らしの人間からすると京都めしってのは縁遠い印象があったのですが、本作を手に取ったことでちょっと興味出てきました。出先では食べログに頼りがちだったりしますが、こういうグルメ本を参考に店に赴くのも良いかもしれませんね。



作品DATA
■著者:魚田南
■出版社:祥伝社
■レーベル:フィールコミックス
■掲載誌:フィールフリー
■既刊1巻



ためし読み