ねむようこ先生のフィーヤン新連載です。いやー、実にわかりやすい表紙にこのタイトル。はい、DIYのお話です。物語の主人公は、大学で上京したものの「なんだか違う」と親に黙って勝手に中退してしまったカズキ。何かやりたいことがあるかというと、特に夢もあるわけではなく、その煮え切らない態度に親は激怒。それでも「学費なんかじゃなくて、もっと有意義なことに使いたい」と言うカズキに、親は残りの学費であった200万円を渡し、それなら有意義な使い方とやらを見せてみろとカズキを突き放すのでした。カズキが目をつけたのは、祖母がかつて営んでいた美容院。今は空き家となっているそこを改装して、一生ゴロゴロできる家を作ることを決意するのでした。しかし200万円なんて、あっという間になくなってしまうような金額。少ない軍資金を元に、彼女のDIYライフが始まるのですが……というお話。
そこからの続きは、冒頭の通り。本意ではないものの、家賃収入を得るために、美容室を開業したい男の子・聖大に1階の店舗部分を貸す約束をし、さらにリフォーム指南役として元リフォーム業者の栄吉も加わって、彼女の新しい日々は始まります。
勝手にバイタリティとガッツ溢れる女子が、様々なアイデアで家を改装していくお話かと思っていたのですが、主人公はとにかくグダグダダラダラしていたい、バイタリティ激低な女子。DIYも仕方なくやるわけですが、やる気もなければノウハウも無いという、見ていてイライラするような女子でございます。それでもDIYに向かわせるのは、美容師の聖大への恋心と、口うるさい栄吉に尻を叩かれるから。
美容師の聖大は優物腰柔らかく優しい性格で、いかにもモテそうなイケメン。カズキの兄の友達という関係で、店舗部分を貸すという話も、兄の提案がきっかけ。カズキは、元々の惚れっぽさも相まって、その優しい歳上のお兄さんっぷりにすぐにやられてしまい、程なくして恋心を抱くようになるのですが、なかなか攻略が難しそうな物件です。
一方の栄吉は、聖大が連れてきた友達。元々リフォーム業者として働いていましたが、そこが倒産。今は別の仕事をしていますが、リフォームにかける想いは人一倍であり、丁度よい機会だからと声をかけられました。なかなか大変な生い立ちであるため、ちゃらんぽらんな生き方をしているカズキのことは、そこまで良く思っていないようです。しかしなんだかんだ面倒見は良く、彼の手によって家は低予算ながら着実に生まれ変わっていきます。
誰にも優しく思わせぶりな聖大の行動に、カズキはドキドキ。
DIYものではありますが、店舗改装といったベクトルになるため、テクニックやアイデアを色々知れるような作品ではありません。DIYを軸に、恋愛を転がしていくという感じでしょうか。変なところだけ頑固なものの、基本的に意志薄弱で、ちょっとしたことで相手を好きになっちゃう感じは、いかにもねむようこ的ヒロインという感じがして、今回も面白い恋愛模様が見られるであろう期待大です(イライラする時もあるんですが、なんだかんだ面白いっていうパターン)。肝心のお相手は、聖大か栄吉か、現時点では全く予想が付きませんが、どちらに転んでも面白そうですね。厳しい生活っぽい雰囲気は出ていますが、失うものは何もない状態からのスタートで、後ろ暗さも無いことから明るく楽しく読めそうなのもプラスポイント。オススメです。
【感想まとめ】
面白かったです。ねむようこ先生らしい、恋模様が楽しめそうな一作。オススメ。
作品DATA
■著者:ねむようこ
■出版社:祥伝社
■レーベル:フィールコミックス
■掲載誌:フィールヤング
■既刊1巻
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