完結作編に続いて、継続作編です。既に2020年になって完結を迎えている作品もありますが、ランキング自体は昨年末に考えたものなので、そこあたりを踏まえてみてもらえればと思います。ではではさっそくどうぞ。





1.ろびこ『僕と君の大切な話』(全7巻)

……最初こそ半信半疑で読んでいたのですが、巻数が重なるごとに面白みが増して、気づけば『となりの怪物くん』ぐらい好きな作品になっていました。メイン2人もさることながら、部長のテンパりながら恋する姿がもうかわいくてかわいくて。ろびこ作品に登場する恋する女の子って、どうしてこうも可愛らしいんでしょう。年が明けて、7巻で完結。もう少し続いてほしい気持ちもありましたが、良い区切りとなったラストでした。

笑いとニヤニヤ止まらぬ新感覚トーキングラブコメ -ろびこ「僕と君の大切な話」
何はともあれ部長が可愛いという話 -ろびこ「僕と君の大切な話」3巻




2.ヤマシタトモコ『違国日記』(既刊5巻)

……ヤマシタトモコ作品の中では最も動きの少ない静か作品のようにも思えるのですが、食事をしながら交わす対話の重み・深み・力強さが圧倒的で、最新の5巻に関して言えば、30分ぐらい動けなくなるぐらいには、余韻に浸らざるを得ませんでした。実際、Amazonのレビューも5巻の数が最も多く、その反響の一端をうかがうことができます。
奇をてらった言い回しなんて一つもなく、地に足着いた言葉が紡がれているだけなのに、どうしてこんなにも心動かされるのか。人見知りの小説家と、姉の遺児がおくる手さぐり年の差同居譚は、2020年、ますます面白くなりそうです。

女王と子犬は2人暮らし -ヤマシタトモコ「違国日記」



3.雁須磨子『あした死ぬには、』 (既刊2巻)

……これまでも雁須磨子先生の作品って、巷ではかなり高評価だった印象なのですが、個人的にはそこまで刺さらなくて、世間とのギャップを感じていたんですよね。でも本作はぶっ刺さりまくりでした。社会人としてバリバリ働くアラフォーのヒロインが、40代になって次々と訪れる、自身の身体の変化や、周囲とのギャップにぶつかるというお話。ぶつかる壁は、老いであり、その向こうにはうっすらと「死」すらも見えてきたりするんですよ。30代の自分からしたら未踏の領域ですが、健康診断で引っかかり始めたこともあって、読んでいても他人事とは思えない。時にくじけそうになりながらも、その壁と向き合う主人公に、心打たれます。

リアルな心と体の変化を感じるアラフォー社会人女子の日常を描いたヒューマンドラマ!『あした死ぬには、』雁須磨子



4.おかもととかさ『私の町の千葉くんは』 (既刊4巻)

……2019年一番印象に残っているのは『私の町の千葉くんは』との出会いでした。全くのノーマークだったんですが、これがめちゃめちゃ面白い。物語の主人公は、自身の母校で教師をする小野寺マチ・27歳。ある日、彼女のクラスに転校生がやってくるのですが、それがかつての初恋の相手の弟で、その子に瓜二つ。かと思えば、初恋の相手ともひょんなことから再会し、恋が成就しそうに……という、ストーリー。トキメキ満載のサンドイッチラブといったところなのですが、このヒロイン、結構だらしなくて人間的にダメなところがあり、色々やらかします。大人のしょーもなさを体現しているような主人公で、めちゃめちゃ愛らしいんですよ。恋によるキラキラと、やらかしによる落ち込みとが絶妙にバランス取れていて、実に軽妙な物語に仕上がっています。1巻から衝撃だったのですが、4巻に至っても未だその勢いは衰えず。ちなみに電子書籍の方が刊行が早く、既に5巻まで出ています。

身悶えすること必至!ふたつの「初恋」のはざまで揺れる、究極のサンドイッチ・ラブ!『私の町の千葉くんは。』おかもととかさ



5.藤間麗『王の獣』(既刊3巻)

……『水神の生贄』『黎明のアルカナ』の藤間麗先生の新連載で、本作は『黎明のアルカナ』の世界観を継承した作品となっています。今回もガッツリファンタジーですが、しっかりと練り込まれた骨太のストーリーに、絵柄も一層洗練されて、極上の作品に仕上がっています。ストーリー詳細を説明すると長くなるので、レビューの方を見て頂きたいのですが、入り組んだ設定・物語背景ながら、しっかり読みやすく、普段ファンタジーを読まないような方も、スッと入っていける内容になっていると思います。今のところ恋愛要素は薄いものの、主従関係を通した関係性の醸成や、バトル要素に、王宮内の複雑な力関係と、序盤から見どころは満載です。

男装の獣人少女×皇子 圧巻の皇宮ファンタジー! -藤間麗『王の獣』



6.水野美波『恋を知らない僕たちは』(既刊8巻)

……いやぁ、2019年も楽しませてもらいました。ずっと気持ちを伝えられずにウダウダやってくれても良かったのですが、さすがにそれぞれハッキリと結果を求めて動き出し、物語にも動きが。ここで何かしら起こっても良さそうなものですが、結果的に彼らが呼び込んだのは、男同士のキスと、今付き合ってる二人が盤石になりましたってことぐらいで、一周回ってスタートに戻るっていう、ある意味最高な結果になりました。あと3周ぐらいしてくれてよいですよ。このキラッキラに見えて、内実は煮え切らない、半生状態の青春模様がたまらなく愛おしい。2020年も楽しみにしております。

恋して感情溢れ出す、男女6人クロス・ラブストーリー -水野美波「恋を知らない僕たちは」
泉の圧倒的ヒロイン感 -水野美波「恋を知らない僕たちは」3巻
まだ方向感は出ず(だがそれがいい) -水野美波『恋を知らない僕たちは』6巻
キスまでするとは思いもしなかったです -水野美波『恋を知らない僕たちは』7巻



7.穂積『僕のジョバンニ』(既刊5巻)

……『BLUE GIANT』みたいに、邪念のない真っ直ぐな主人公が音楽に打ち込む姿も好きですが、圧倒的な才能に打ちのめされて、それでも楽器にすがってすがって、満を持してカウンターパンチ狙うような、敗者の物語みたいなこういう作品も大好きです。穂積作品ということで、こちらも少し信用しきれず追いかけていた感じはあるのですが、もうここまで来れば大丈夫でしょう。ぶつかり合うしかなさそうだった二人の才能が、長い時を経て再会した末になんとなく見えた、落としどころのようなものに向かって、どう物語が進んでいくのか楽しみでなりません。

チェロの音が紡ぐ、二人の少年の魂の物語。 -穂積「僕のジョバンニ」1巻
そう来るか!と思わずニヤニヤ -穂積「僕のジョバンニ」2巻



8.満井春香『放課後、恋した。』 (既刊7巻)

……青春オーラキラッキラで有り余るリア充パワーの前に読むのがしんどくなる作品って時折あるんですけれど、本作のリア充感はマジで頭一つ二つ抜けてます。男子バレー部でマネージャーをするヒロインが、エース格のイケメン2人から好意を寄せられるっていう、夢のような展開。しかも体育館で汗臭くしてるだけじゃなくて、謎に海の家でバイトしたりしますからね。それでも大会で勝っちゃう、青春の勝者感。ってなんか悪口みたいになっちゃいましたけど、もう清々しいほどにうらやましい青春模様が広がっていて、すごく面白いし読んじゃうんですよ。是非ともこのキラキラ感を維持したまま、フィニッシュしてほしいものです。

バレー部での眩しすぎる恋と青春 -満井春香「放課後、恋した。」
リア充圧によるダメージ必至のキラキララブストーリー!『放課後、恋した。』満井春香



9.浜心汐里『ひみつのイノセントワールド』 (全2巻)

……年が明けて2巻発売し、完結してしまいました。ちょっと前にTwitterでちょっとした話題になっていましたよね。
コスプレが趣味の生真面目OLが、ある日コスプレ会場で上司とばったり出会ってしまい、紆余曲折あり同居することになるというラブコメディ。上司はガチオタであることを隠し生きており、一方ヒロインもコスプレ趣味は秘密。ヒロインはハイスペックな結婚相手を欲しており、一方上司はヒロインのコスプレ姿を切望していると、利害一致。共通の趣味があるってことは、それだけで2人の距離を縮める材料には事欠かないってことなんですが、一緒に暮らしてみると、その他にも互いの良いところが見えてきて、段々と大切な存在へと変わっていくんですよね。その関係性の変化がとても興味深く面白い一作です。

女児向けアニメ好きOLレイヤーと、スパダリ上司のドタバタラブコメ!『ひみつのイノセントワールド』浜心汐里



10.KUJIRA『世界の終わりと魔女の恋』 (既刊2巻)

……たぶんこのブログを長く読んでいる方なら、KUJIRA作品が入ってくることは容易に想像できたでしょう。今回はファンタジー&百合ってことでかなり異色っちゃ異色なんですけれど、もう何描かれてもぶっ刺さるからダメですね。
人間と魔女が暮らす世界で、17才の魔女・アリスは、由緒正しいエリートの魔女として、魔女の学園で日々修行を重ねていました。そんなある日、人間と魔女の混血であるマリが転入してきます。環境に馴染めず浮いているマリでしたが、ある日彼女の「最強の魔法」を目の当たりにして、禁忌と言われる恋に落ちてしまい……というストーリー。いやあ、いい百合ですとも。禁じられた恋とKUJIRA先生ってだけでもうごちそうさまって感じです。




11.餡蜜『高嶺の蘭さん』 (既刊7巻)

……1巻から「出来上がった文句ないカップル」という感じの2人ですが、2019年も安定のカップリングを見せてくれました。もちろん相手を知るごとに、相手を好きになるごとに、自分の知らなかった感情が湧いてきて戸惑ったりもするのですが、そんなのも全部、破局の危機じゃなくて、より想いを深めるためのスパイスでしかないってのが分かるほどに安定しています。壁にぶち当たるだけが、トラブルが起きるだけが少女漫画じゃないぞ、と思わせてくれる、極上の癒し枠として今年も推したいと思います。

高嶺女子×お花屋男子のピュアラブストーリー -餡蜜「高嶺の蘭さん」
少女漫画のヒロイン感あるライバルが登場 -餡蜜『高嶺の蘭さん』5巻



12.藤沢もやし『御手洗家、炎上する』(既刊6巻)

……年が明けて発売された新作がとんでもなくおもしろかったので、それ読んでから順位組んでたら5番目ぐらいにしてたかもしれません。
嫉妬、羨望、野心、憎悪……すべてが絡まり、もつれ合う、本格ホームサスペンス。とにかく読んでいて息つく暇がないです。終始緊張感に包まれていて、手に汗かきまくるのでページがめくりやすいことめくりやすいこと。読む人が読んだら安っぽいストーリーとか言うかもしれませんが、とにかく読み手を飽きさせない、次から次へと投入される出来事の連続がもう圧倒的にエンタテイメント性が高い。こんなにもドラマ化に向きそうな作品もないと思うのですが、未だそういう話がないどころか、続刊を書店で見つけるのすら難しかったりするのは何故なのか。1巻読んだら一気に最新巻まで読んでしまうこと請け合いです。

手に汗握る本格ホームサスペンス! -藤沢もやし「御手洗家、炎上する」



13.絹田村子『数字であそぼ。』(既刊3巻)

……地元では勉強で負け知らずの秀才が、意気揚々と京都大学(作中では別名)理学部へ入学するも、入って早々に受けた微積分額高度な授業を1ミリも理解できず、ショックのあまりそのまま2年休学。その後、さすがにこのままではまずいと、復学し数学に向き合い始めるのですが……というストーリー。絹田村子先生の作品らしく、数学という堅いテーマを扱いつつも絶妙にゆるいコメディに仕上げております。あと絹田村子作品って、変人の奇行ってのが一つの見どころというか、物語を動かす動力源になったりしますけれど、さすが京都大学ですから奇人には困りません。全く気張らず読むことができる良コメディです。

【日替わりレビュー:金曜日】『数字であそぼ。』絹田村子



14.日高ショーコ『日に流れて橋に行く』(既刊3巻)

……刊行ペースはゆっくりですが、出ればしっかり面白いし、時間がたっても印象に残ってます。2巻まではなんとなく男たちの物語という感じがありましたが、3巻にしていよいよヒロインの時子が存在感を見せ始めます。仕事でも活躍をしはじめたと思えば、まさかまさかのロマンスまで生まれるなど、恋も仕事も……な感じ、時代感も相まって、まるで朝ドラのよう。百貨店を生まれ変わらせるというメインストーリーはしっかりと進みつつ、それを取り巻く人間たちのヒューマンドラマもまた見ごたえたっぷりで、相変わらず満足度が高いです。

明治末期、男たちが呉服店の新しい時代を切り拓く! -日高ショーコ「日に流れて橋に行く」
複雑な人間関係を絡めながら、明治末期の百貨店を再建する様を描いたヒューマンドラマ!『日に流れて橋に行く』日高ショーコ



15.志村貴子『おとなになっても』(既刊2巻)

……小学校教師のヒロインが、久しぶりに立ち寄ったバーで、若い女性店員から声を掛けられ、意気投合しそのまま彼女の家に行き、キスを……。けれどもヒロインには、結婚相手がおり……という、志村貴子先生による大人百合な一作。てか百合作品、2つ目ですね。やばいやばい、趣向が漏れている。
 既婚ゆえに色々としがらみがありつつも、自身の中に芽生えた恋心を否定することが出来ないという、大人ゆえのやるせなさや切なさ、悪い意味での諦めの良さと悪さが絡み合い、苦味の効いた物語に仕上がっています。志村貴子作品ですからね、そりゃあ面白くないわけないんですよ。




16.石田拓実『カカフカカ』(既刊10巻)

……結構巻数重ねてきて、そろそろフィナーレも見えてきた頃でしょうか。巻数を重ねて、自分に自身のなかったオロオロ流されヒロインが、長谷というハイスペック厄介野郎とお付き合いをしたことで、一気に自分の気持ちをドバっと吐き出せる女子に変わりつつあります。正直ストーリー的にはやや停滞期というか、やっぱり本行とあれこれやってほしいんですけれど、次に高くジャンプするために、屈伸している感がすごくて、期待は高まります。実際、年明けに発売された新刊は新展開を見せており、その予想は当たったかなと勝手にニヤニヤしております。

長谷さんは生々しいエロさが足りない -石田拓実「カカフカカ」7巻



17.和泉かねよし『水槽夜曲』(既刊1巻)

……10人いたら9人は『コールドゲーム』薦めると思うんですけれど、まああっちはもう散々推されてますし、私はなんならこっちを推したい。やっぱり自分にとって和泉かねよしって、『女王の花』よりも『メンズ校』なんですよね。理不尽交じりの、パワーと勢いで押し切るドタバタコメディ。舞台設定やキャラクターは全く違えど、本作は『メンズ校』側の匂いを感じることができます。
 主人公は仕事は出来るが「サイボーグ」と言われるほど冷徹な仕事ぶりで有名な男。唯一イケメンの同期相手に密かに想いを寄せる、ゲイ(?)という、なかなかの変わり種です。そんな彼の前に、突然(マジで突然)「助けてください。あなたの家に泊めてください。」と要求してくる女性が現れ、拒否するも押しかけられるという、無茶苦茶な導入です。何言ってるかわかんないと思うんで、とりあえずためし読み読んでください。




18.藤もも『恋わずらいのエリー』(既刊10巻)

……エリーはいつも斜め上の行動するので、付き合ってもそこまで食傷気味にならずに、比較的新鮮にシチュエーションを楽しめています。DKコンテストの一件は、オミくんが当初想定していたよりもイケメンというか「全国レベルで勝負になるイケメンだったのか……」と、思ってたより距離の遠い人になった気がして何故かちょっとショック受けたのですが、そこでのエリーの立ち回りが素敵だったので、結構好きなイベントとなりました。最初こそオミくんの圧倒的承認力に魅力を感じていましたが、今となってはエリーからの無償ならぬ無限の愛みたいなものにオミくんが救われているようにも見え、互いに素敵な関係だなと巻を重ねてなお思います。

変態地味女子×ウラオモテ男子 -藤もも「恋わずらいのエリー」1巻
相変わらずのオミくんの承認力 -藤もも「恋わずらいのエリー」4巻



19.宮坂香帆『金色ジャパネスク~横濱華恋譚~』(既刊4巻)

……時は明治、当時は珍しい金髪碧眼のハーフの少女が主人公。その特異な見た目から、髪を黒く染め、人目を避けながら生きてきたヒロインが、ひょんなことから名士・黛家の子息である麟太郎にその美しさを見出されたことで、彼女の下ばかり見ていた人生が変わりはじめるというラブロマンス。
 ベタっちゃベタなラブロマンスなんですけれども、こういうのでいいんですよ。まさにシンデレラ的ストーリーで、これぞ少女漫画といった、ドロっとした感情渦巻きつつも、それを乗り越え愛を手に入れるという、分かりやすい物語。最新巻ではまさかの海を挟んだ遠距離恋愛という展開を迎え、思いのほかスピーディにストーリーが進んでいます。変にグダグダしないところも、読みやすさを後押ししています。

時は明治、金髪碧眼の少女が時代を彩るシンデレラロマンス-宮坂香帆『金色ジャパネスク』



20.末次由紀『ちはやふる』(既刊43巻)

……今さら40巻以上出てる作品を推されても……という感じもあるかもしれませんが、いよいよクイーン戦と名人戦が始まり、物語がフィナーレに向けて動き出しました。サイドストーリーを消化しつつゆっくりゆっくり進む作品ですから、さすがに今年中に勝負がつくとも思っていないのですが、最も盛り上がりを見せる可能性がありそうということで、ここで改めてピックアップさせてもらいました。てか何気に昨年も入れてるんですね。




というわけで、以上20作品をピックアップ致しました。選定したときから3か月が経過しているので、今振り返ると「え、なんで?」ってのもあったりするんですけれど、当時の自分の気持ちを優先しました。振り返ってみると、1位も2位も対話が中心の作品なんで、もしかしたら自分の精神状態とか結構反映されているのかもしれませんね。全体的に見ても、新作と旧作入り交じり、いい感じのバランス感になっているのではないかと思います。

入れようか迷った作品は結構あるんですけれど、新作で言えば森下suu『指先と恋々』、目黒あむ『ひなたのブルー』あたり。続刊でも『ゆりあ先生の赤い糸』とか、『涙雨とセレナーデ』、『これは経費でおちません!』、『世界で一番早い春』あたりでしょうか。